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なぜUr AIは基盤モデルをゼロから作らず、ファインチューニングを選ぶのか

Ur AIは、基盤モデルを再発明するのではなく、既存モデルの上に信頼できるエンタープライズ向けAIプロダクトを構築している。その理由を整理する。

Sandeep Yella

Sandeep Yella

Founder, CEO & CTO

なぜUr AIは基盤モデルをゼロから作らず、ファインチューニングを選ぶのか

AI業界には、最も価値が高い企業は自前で基盤モデルを構築する企業であるという見方がある。当社はそう考えていない。Ur AIは、既存のAIモデルをプロダクト要件に合わせてファインチューニングし、その上に製品を構築することを選んでいる。基盤モデルをゼロから開発しないのは、明確な戦略判断であり、Specterの設計思想の中核でもある。

モデル開発は民主化されていく

技術史を見ると、基礎的なブレークスルーのあとには、その上に信頼できる製品を構築する企業群が現れる。現代AIのエンジンであるTransformerも、長年の研究の積み重ねの上に成立している。OpenAIやAnthropicは、現代のAI車両を切り開いた存在といえる。しかし、自動車産業がFordやBenzで終わらなかったのと同様に、AI産業も基盤モデル開発企業だけで完結するものではない。

自動車産業との比較

FordやBenzが現代の自動車を発明したとしても、業界を広く普及可能なものへ変えたのは、信頼性、安全性、拡張性を備えた製品をつくった後続企業である。彼らは内燃機関そのものを再発明したわけではない。その周囲に、より優れた製品体験を設計した。

Ur AIも同じ立場を取る。当社がつくっているのは、エンジンそのものではない。エンタープライズで使える、信頼性が高く、安全で、拡張可能な製品である。価値の源泉は、基盤モデルの上にある。デューデリジェンスに特化したファインチューニング、独自オントロジー、専用OCRパイプライン、そしてトレーサビリティの基盤である。

より優れた車をつくるために、必ずしもエンジンそのものを自前で開発する必要はない。差が出るのは、設計、安全性、そして運転者が安心して使える体験の部分である。

ファインチューニングが可能にすること

  • ドメイン精度。デューデリジェンス特化のデータでファインチューニングすることで、一般用途モデルでは捉えにくい財務、法務、規制の文脈をより深く理解できる。
  • 最先端への追随速度。より優れた基盤モデルが登場した際に、古い自前設計に縛られず、迅速に取り込める。
  • 資源配分の最適化。事前学習のための巨額な計算資源に投じるのではなく、OCR、ナレッジグラフ、トレーサビリティ基盤といった実際の利用価値を生む領域へ集中できる。
  • 多言語精度。日本語、英語、インドネシア語、ベトナム語、スペイン語、アラビア語に対する独自学習により、一般的な多言語モデルより高い精度を目指せる。

日本から、責任あるAIの拡張を進める

当社の使命は、人間が主導権を持ち続けられる形で、責任あるAIの拡張を進めることである。この考え方は、Specter全体に通底している。Specterはユーザーの代わりに判断を下すのではなく、分析能力とトレーサビリティ基盤を提供し、人間がより良い判断を下せるよう支える。すべての洞察は根拠まで確認でき、すべての分析は検証可能であり、主導権は常にユーザー側にある。

東京を拠点とするUr AIは、アジアからグローバル市場に向けてプロダクトを構築している。AIの次の章を決めるのは、最も大きなモデルをつくる企業ではない。最も信頼でき、安全で、有用な製品をその上に築く企業である。当社は、その立場から事業を進めている。

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よくある質問

なぜUr AIは独自の基盤モデルをゼロから作らないのか

当社は、AIモデル開発は今後さらに民主化されていくと考えている。基盤モデルの事前学習に数年と巨額の資本を投じるよりも、最良のモデルの上に、ドメイン特化の製品を構築するほうが、より速く価値を届けられる。重要なのは、デューデリジェンスに必要な知見、OCR、トレーサビリティといった上位レイヤーである。

基盤モデルを開発する企業との違いは何か

自動車にたとえるなら、Transformerという基盤はエンジンであり、OpenAIやAnthropicは現代の車両を切り開いた存在である。当社は、エンジンを再発明するのではなく、その上に安全で信頼性が高く、実務で使える車をつくる側に立っている。人間が主導権を持てるAIを、責任ある形で広く使えるようにすることが当社の方針である。